なぜ日本人は資産運用に疎いか?

保険の知識

日本では定期預金にもほとんど利息が付かなくなったことから、日本人の中でも投資をする人は増えてきています。
しかし、「投資は危ないから定期預金にするべき」と考える人はまだまだ多い印象です。
アメリカなどと比べて、日本人は資産運用に疎いと言えるでしょう。
なぜ、日本人は資産運用に疎いのか、その理由について解説します。

日本では投資よりも貯蓄が多い

日本では、以前から「貯蓄から投資へ」というスローガンが掲げられているのですが、このスローガンが実現されているかと言えばそうとは言えません。
日本の家庭が保有する金融資産は、投資よりも現金・預金の方が多いのです。

2021年の調査によると、家計が保有する金融資産は、現金・預金が54.3%、保険等が27.4%と合計で80%以上になっていて、株式は10.0%、投資信託は4.3%しかありません。

一方でアメリカの比率を見てみると、現金・預金は13.3%、保険等は29.0%、株式等が37.8%で、投資信託が13.2%と投資に関わるものが50%以上もあり、日本の約3倍となっているのです。

この違いは、国として見た場合の家計金融資産の変化にも表れています。
1995年から2016年までの変化を見ると、日本では1.54倍に増えています。
それに対して、アメリカでは3.32倍に増えているのです。

日本とアメリカの背景の違い

日本人がなかなか貯蓄から投資へと踏み出せないのは、アメリカとの背景の違いもあります。
日本では金融教育が進んでいないため、投資を勧められても無理があるのです。
投資をするよう言われても、「どうすればいいの?」と戸惑う人の方が多いでしょう。

アメリカでは、小学校から高校までの12年間で金融に関する教育を行っています。
金融教育の学習基準モデルも発表されていて、リスク管理や信用、お金の管理などを教えています。
これはアメリカに限らず、他の先進国でも同様なのです。

一方、日本では金融教育がほとんど行われておらず、そもそも教える人材もほとんどいない状態です。
また、日本の社会保障も投資の必要性を強く感じさせないようになっている一因でしょう。

アメリカには社会保障制度がなく、医療費等も全額自己負担です。
そのため、お金を確保しておくことは大切なのです。
一方、日本の場合は社会保障制度が国民に加入するよう義務付けられていて、万が一お金が足りない場合でも相談に乗ってもらうことが出来ます。

そのせいで、日本人は今あるお金を守ることに意識が向き、リスクを負ってでも積極的にお金を増やしたいとは思わないのでしょう。
今後、貯蓄から投資に目を向けさせるには、日本独自の教育を立ち上げる必要があります。

まとめ

日本において、金融教育というのは小学校から高校までの間でほとんど行われていません。
大学で学ぶ専門分野という立ち位置になっているのですが、それでは国民に投資を意識させることが出来ないでしょう。
大学で学ぶということは、投資が専門的なものという立ち位置になっているのです。
日本人の多くは貯蓄を重視しているので、それを投資に切り替えさせるためには今後の教育が重要です。

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