日本の生命保険料が高い理由③プーリング方式が違うから

保険の知識

日本の生命保険料は、外国と比べて高いと言われています。
特に比較されるのが米国で、日本と米国ではかなりの違いがあります。
その原因となっているのが、プーリング方式の違いだと言われているのですが、プーリング方式とは一体何でしょうか?
日本と米国の、プーリング方式の違いについて解説します。

プーリング方式とは?

プーリングというのは、健康な人と不健康な人など、保険のリスクの度合いによって、保険集団をグループ分けするという考え方のことを言います。
プーリング方式は、その分け方です。

保険料の計算は、事故や死亡の確率を用いて確率論によって計算されるのですが、いくら多くの資料を揃えて細かく計算したとしても、予想でしかありません。
将来どうなるのかは、外れる可能性も十分にあるのです。

日本の保険会社は安全マージンを大きくとり、安全性を高めるために保険料を高めに設定しています。
しかし、米国の保険会社はあまり安全マージンを取るわけにはいかないのです。

米国の保険業界は競争が激しく、保険料についても価格競争にさらされているため、日本の保険会社の真似をして安全率を上乗せすることはできないのです。
安全率の違いから、日米の保険会社で保険料が大きく違います。

そこで、プーリング方式の違いが出てくるのです。
日本の保険は、加入者が払った保険料の中から保険金が支払われます。
決して個々の保険料に分けているのではなく、全体の保険料をまとめているのです。

いわば、日本の保険金は割り勘の支払い方です。
誰が何を注文したのか、何を飲んだのかで分けるのではなく、全体の支払いを頭割りにしているので、あまり飲み食いしない人は不満を抱くこともあるでしょう。

しかし、米国の保険は個別払いの方式を取り入れていることが多いのです。
沢山飲み食いした人は負担も多くなり、あまり飲み食いしなかった人は負担が軽くなります。

日本のプーリング方式では、グループ分けをあまりせずに健康状態で保険料の負担を増減させないようにしていることが多いのです。
健康状態が現状で悪ければ加入を断られることもありますが、将来的な病気のリスクが高いからといって断られることはありません。

米国では、プーリング方式で細かくグループ分けしています。
グループ分けの結果、健康状態が良好な人は保険料が安くなり、健康状態が悪い人は保険料が安くなります。

中には、健康状態が2番目によかったため、米国の保険会社の保険に加入したときに、日本の保険会社の保険料の約3分の1になった、という人もいます。
健康状態が良好なら、将来の病気リスクも上がるのです。

プーリング方式はどちらがいい?

日米のプーリング方式には違いがあるのですが、どちらがいいのかというと一概には言えません。
良し悪しはなく、保険に加入している人はどちらの方が満足するのかで決まるのです。

米国では、合理的ということが重視されます。
人によってリスクは異なるので、リスクに合わせて等級を決め、保険料を決めていくという考え方をしています。

一方、日本では平等が重視されます。
多少損得はあったとしても、保険料は同じになるのが正しいと考えている人が多いのです。
互助の考え方が根付いているため、ともいえるでしょう。

加入者にとって、どちらがいいかというよりも選ぶことができるということが重要になります。

将来的には、日本の保険会社が積極的に米国のプーリング方式を取り入れるべきです。

まとめ

日本と米国の保険会社では、プーリング方式が異なります。
保険料が、米国では個別に決定されるのに対して、日本では同額となるという違いがあるのです。
どちらが正しいということではなく、保険加入者がどちらを望んでいるのかが重要となるので、日本の保険会社は両方の選択肢を用意しておくべきでしょう。
そうすれば、加入者の満足度もより高くなるはずです。

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