日本人の死因の上位を占める悪性新生物(がん)、心疾患、脳血管疾患(脳卒中)をまとめて三大疾患というのですが、この病気に罹ってしまった場合は入院や通院が必要となるケースが多いでしょう。
その場合、治療費はどれくらいかかるのでしょうか?
三大疾病の入院・通院の治療費について解説します。
三大疾病の入院時の費用
三大疾病に罹ってしまうと、そう簡単には治りません。
入院した場合も、かなり期間が長くなるケースも多いでしょう。
入院となった場合は、どれくらいの費用が掛かるのでしょうか?
人それぞれ病状なども異なり、受ける治療も違うので平均となりますが、悪性新生物の場合は663,440円、心疾患であれば753,229円、脳血管疾患であれば655,887円です。
どの病気であっても、かなりの費用が必要となります。
ただし、これは健康保険や高額療養費制度を適用する前の金額です。
健康保険が適用される範囲では1割から3割負担となり、一定額を超えた分については高額療養費制度が適用されるため、負担はかなり減るでしょう。
三大疾病の通院時の費用
では、通院による治療となった場合はどのくらいかかるのでしょうか?
これは、同じ三大疾病でもどの病気かで大きく異なります。
1回あたりの通院にかかる費用について、解説します。
通院でかかる費用の平均は、悪性新生物が50,782円、心疾患が17,707円、脳血管疾患が15,981円です。
比較すると、悪性新生物の場合だけかなり高額となっています。
これは、悪性新生物の時に必要となる抗がん剤や、特別な治療などが必要となるのが原因と考えられます。
こちらの費用も、健康保険や高額療養費制度が適用される前の金額です。
高額療養費制度は、年齢や月の収入などから決まる自己負担限度額を超過した金額の療養費を支払った際に、申請することで、それを払い戻してもらえる制度です。
申請する先は、加入している市町村国保や共済組合などの公的医療保険となります。
まず一度自分で自己負担分の医療費を支払い、その後に公的医療保険へと高額療養費支給申請書を提出します。
その後、医療機関等から提出される診療報酬明細書を確認のうえ、払い戻しされます。
一時金の考え方
三大疾病に備えて保険に加入していると、最大疾病と診断された時は診断一時金(給付金)が支払われます。
具体的には、どのくらいの金額に設定しておけばいいのでしょうか?
一時金の額は、保険会社や契約内容によって異なりますが、おおよそ50万円から200万円の間に設定されています。
しかし、金額が大きければ当然保険金も高くなるため、必要な金額を知っておく必要があるでしょう。
まず、医療費については健康保険や高額療養費制度があるので、自己負担額はあまり大きくはなりません。
高額療養費制度の自己負担限度額は、所得区分と年齢、総医療費で異なります。
自己負担額の限度額は標準報酬月額28万円から50万円なら、80,100円に総医療費から267,000円を引いた額に1%をかけた額なので、総医療費が100万円なら自己負担限度額は80,100円+7,330円で87,430円です。
しかし、医療費以外にも様々な費用が掛かります。
通院するための交通費や食費、入院中に必要な日用品代などが必要となるのです。
つまり、必要な金額は医療費の自己負担額と生活費や交通費の合計です。
入院する日数は、もちろん症状によって異なります。
おおよその目安としては、悪性新生物と心疾患は20日前後、脳血管疾患は長く90日前後です。
入院期間は、医療技術の進歩に伴って年々短くなっています。
しかし、長期間の入院は必要です。
入院日数が分かれば、必要な金額も見積もりやすくなるでしょう。
なお、入院日数が完治するまでの期間ではないことにも注意してください。
完治ではなく、通院による治療に切り替えることもあります。
交通費は、通院日数によって変わるでしょう。
ちなみに、保険の種類によっては三大疾病の一時金特約で注意しなくてはならないこともあります。
保険によっては、三大疾病の全てを保障するものだけではなく、悪性新生物だけを保障するものもあるのです。
悪性新生物は、死亡原因第1位です。
悪性新生物になった身内が多い人は特に悪性新生物だけを心配して契約することがあるのですが、もし心疾患や脳血管疾患になった時は保障されないので注意しなくてはならないのです。
ただし、三大疾病全てを保障するタイプは、悪性新生物だけという契約よりも保険料が高くなってしまいます。
保険料と保障内容を比較して、慎重に選んでください。
一時金はいくら必要?
一時金がいくらあればいいのかは、治療費や治療期間によって異なります。
特に、悪性新生物の治療は数十万円から、数千万円かかったという人もいるため、一概には言えません。
治療に最も費用が掛かった1年間の平均は、約133万円と発表されています。
他の費用もありますが、自分の貯金などで賄う部分もあると考えると、一時金として必要なのは100万円以上あれば安心できるでしょう。
ただし、三大疾病全てが100万円でたりるというわけではありません。
特に、脳血管疾患の場合は入院が長期になることが多いため、100万円では不足する可能性が高いでしょう。
また、資産運用や貯金で十分な資産があるという人であれば、一時金がそれほど多くなくても問題はないかもしれません。
貯金や余剰資金などを計算して、必要な一時金を考えましょう。
ただし、保険会社にもよるものの一時金をもらえる条件は厳しいことが多いため、注意してください。
まず、医師から三大疾病と診断され、確定しなければもらえません。
一時金は初めて診断された時に限られる保険もあれば、複数回受け取ることができる保険もあります。
また、悪性新生物だけではなく上皮内新生物も含む保険もあります。
保険や特約の種類によって、保障される内容は大きく変わります。
きちんと考えて選ばなければ、必要な時に保障を受けられないこともあるでしょう。
支払条件は、慎重に確認してから契約してください。
まとめ
三大疾病に罹った時の医療費は、かなり高額です。
入院した場合は数十万円、通院でも一度に数万円支払うことになるかもしれません。
健康保険に加入していれば一部が自己負担となり、高額な場合は高額療養費制度で払い戻しを受けられるものの、自己負担分は決して少ないものではなく、病気の身にはかなりの負担となるでしょう。
負担を軽減するためにも、医療保険には加入しておくことをおすすめします。