iDeCo(イデコ)に一度加入すると、原則60歳まで途中解約することができないため、掛金の支払いが困難になった場合、対応に困る可能性があります。
しかし、途中解約はできないものの、掛金の減額を行うことは可能です。
ここからは、iDeCo(イデコ)の掛金の減額における手続きや注意点などについて解説したいと思います。
iDeCo(イデコ)の掛金減額の方法
iDeCo(イデコ)の途中解約の代わりに行う掛金減額は、加入者掛金額変更届という書類を提出することで実施可能です。
掛金額は、最低月々5,000円まで、1,000円単位で下げることができます。
そのため、iDeCo(イデコ)に加入した当初、職業別に定められた上限額近くまで掛金を拠出していたという方でも、こちらの制度を利用することにより、大幅に月々の負担を軽減できます。
例えば、自営業者の方が毎月上限の68,000円を拠出していた場合でも、5,000円まで減額できれば、60,000円以上の費用を削減できます。
iDeCo(イデコ)の掛金減額における注意点
iDeCo(イデコ)の支払いが厳しくなった方は、途中解約に代わって掛金の減額を選択できますが、こちらの実施にはいくつかの注意点があります。
具体的には、以下のような点です。
・iDeCo(イデコ)の特性を活かしきれなくなる
・減額は年1回のみ
・郵送手続きが必要
iDeCo(イデコ)の特性を活かしきれなくなる
iDeCo(イデコ)は分散投資、長期投資、継続投資が特徴の商品です。
長期間運用することにより、複利効果などを活かした投資が可能になります。
しかし、iDeCo(イデコ)の掛金を減額することにより、上記のような効果や特徴を活かしきれなくなってしまう可能性があります。
減額は1回のみ
iDeCo(イデコ)の掛金減額は、1年に1回のみ可能です。
そのため、加入者の方が以前にも掛金を変更している場合、経済的に苦しくなったタイミングで、必ずしも減額できるとは限りません。
郵送手続きが必要
iDeCo(イデコ)の掛金減額は、Web上で完結させることができません。
eb上で可能なのは、加入者掛金額変更届を印刷するところまでであり、申込自体は郵送で行う必要があります。
また、iDeCo(イデコ)は公的年金と紐づいた商品であるため、手続きが完了するまでには1ヶ月半~2ヶ月半程度かかります。
年単位拠出への変更について
iDeCo(イデコ)の支払いが難しくなり、途中解約もできず困っている方の選択肢としては、減額以外にも年単位拠出への変更というものがあります。
こちらは、2018年に行われたiDeCo(イデコ)の制度改正によって創設されたもので、iDeCo(イデコ)の掛金引落を毎月ではなく、加入者が年1回以上任意に決定した月にまとめて拠出するというものです。
年単位拠出にすれば、ボーナス月のみの拠出にすることなどができ、経済的に厳しい方でも、減額をせずに掛金を支払い続けられる可能性があります。
ただし、年単位拠出に変更すると、相場の影響をより受けやすくなります。
例えば、iDeCo(イデコ)で投資信託に投資している場合、毎月拠出していれば、金融商品の価格が安いときにはたくさん買い付け、高くなれば少なく買い付けるなど、相場の変動に応じて臨機応変に対応できます。
一方、年単位拠出すると拠出回数が減少するため、このような利益のチャンスを活かしにくくなります。
つまり、年単位拠出は経済的な負担を軽減できる可能性があるものの、iDeCo(イデコ)の投資商品における運用実績には悪影響を及ぼしやすいということです。
まとめ
ここまで、iDeCo(イデコ)の途中解約に代わる掛金の減額について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
iDeCo(イデコ)は途中解約ができませんが、掛金の減額によってある程度対処することは可能です
ただし、掛金の減額には前述の通りデメリットもあるため、なるべく加入する時点で将来のことを予測し、掛金の金額を高く設定しすぎないなどの工夫が求められます。