収入保障保険、就業不能保険は、どちらも被保険者の身体に何かあったときに備えて加入する保険です。
しかし、これらは似て非なる保険商品であり、加入を検討している方は、具体的にどこがどう違うのかを把握しておかなければいけません。
それぞれの概要とあわせて解説します。
収入保障保険の概要
収入保障保険は、死亡保険の一種であり、被保険者が死亡あるいは高度障害状態になったときに、保険金を年金として毎月受け取ることができる保険です。
被保険者の家族は、まるで月々の給料をもらうように、年金を受給することができます。
また、希望すれば、死亡時に未払年金現価のすべてまたは一部を一括で受け取ることも可能です。
就業不能保険の概要
就業不能保険は、病気やケガで長期間働くのが難しくなり、収入が減少してしまうリスクに備える保険です。
働けない期間は、会社員であれば公的医療機関から傷病手当金、独自の付加給付などの保障がありますが、自営業の方は、会社員等に比べて公的医療保険の保障が手厚くないため、加入を検討すべき保険だと言えます。
収入保障保険と就業不能保険の違い4選
収入保障保険、就業不能保険には、主に以下のような違いがあります。
・保険金の支払事由
・加入目的
・受取保険金の課税
・免責期間の有無
保険金の支払事由
収入保障保険と就業不能保険とでは、まず保険金の支払事由が異なります。
収入保障保険は、被保険者が死亡したとき、またはそれに準ずる重度の高度障害になったときに、保険金が支払われるというものです。
一方、就業不能保険は、病気やケガにより、働けなくなったとき、自身やその家族の生活費を補填するための保険金が支払われます。
加入目的
収入保障保険と就業不能保険とでは、加入する目的も異なります。
収入保障保険は、被保険者自身が死亡または高度障害状態になったとき、残された家族の生活費を少しでも確保したいという目的で加入します。
これに対し、就業不能保険は、病気やケガで働けなくなったときの収入の減少に備えたいというのが加入目的です。
つまり、収入保障保険における備えの対象が被保険者の家族であるのに対し、就業不能保険は家族の中に被保険者自身も含まれているということです。
受取保険金の課税
収入保障保険は、受け取る保険金に税金がかかります。
具体的には、死亡年金を一括で受け取る場合に、相続税や所得税・住民税、贈与税などがかかり、分割で受け取る場合にも、相続税や贈与税、所得税などがかかるケースがあります。
相続税の対象となる場合、500万円×法定相続人の人数が非課税となったり、贈与税には110万円の基礎控除が使えたりしますが、それでもある程度の税負担が発生するのは事実です。
一方、就業不能保険の保険金には、税金が一切かかりません。
そのため、基本的には払込保険料以外の金銭的な負担をしなくて済みます。
免責期間の有無
就業不能保険で保険金を受け取るには、60~180日の免責期間(支払対象外期間)を超えて、所定の就業不能状態である必要があります。
近年は、免責となる期間がより短い商品もありますが、いずれにせよ免責期間の間に就業不能状態から回復した場合には、保険金を受け取ることができません。
これに対し、収入保障保険は、被保険者の死亡や高度障害状態を保険金の支払事由としているため、免責期間は存在しません。
まとめ
ここまで、収入保障保険と就業不能保険の主な違いについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
これらの保険をほとんど同じ商品だと認識していた方は、これを機会に考えを改めましょう。
収入保障保険、就業不能状態は、加入目的や備えの対象となる人物、発生する税金などあらゆる面で違いがあり、勘違いをしたまま加入してしまうと、イメージしていた通りの備えとならない可能性があります。