iDeCoの途中解約が可能なケースについて

iDeCo

確定拠出年金法に基づいて運用される私的年金のiDeCoは、掛金の全額が所得税控除対象になることや、運用利益がすべて非課税になることなどのメリットがあります。

では、iDeCoへの加入後、自身の都合によって途中解約することは可能なのでしょうか?

今回はこちらのポイントについて解説します。

iDeCoは原則途中解約ができない

iDeCoは、自身で60歳以降の老後資金をつくる私的年金制度です。

毎月一定の金額を積み立てながら、投資信託や保険商品の運用を行う制度で、原則60歳まで掛金の支払いと運用が続き、60歳以降に受け取ります。

そのため、例えば支払いが困難になったとき、掛金の減額や支払いの停止をすることはできますが、原則途中解約は認められていません。

iDeCoで積み立てるお金は、一時的に使用するものではなく、あくまで老後資金として使うものです。

例外的に途中解約ができるケース

前述の通り、iDeCoは基本的に途中解約をすることができませんが、例外もあります。

以下に該当する場合は、途中解約が認められ、それまで積み立てた金額を受け取ることが可能です。

死亡一時金を受け取る場合

iDeCoに加入する本人が、受け取り開始年齢になる前に亡くなってしまった場合、これまで積み立ててきた資産を遺族が受け取ることができます。

こちらは死亡一時金と呼ばれるもので、本人が受け取ることはできないものの、事実上途中解約ができるケースに該当します。

ただし、死亡一時金は、iDeCoの加入者本人が亡くなったとき、自動的に遺族に振り込まれるわけではありません。

具体的には、本人がiDeCoの口座を開設していた金融機関に連絡を取り、必要な書類を用意して、提出する必要があります。

ちなみに、こちらの手続きは、加入者本人が亡くなってから5年以内に行わなければいけません。

脱退一時金を受け取る場合

やむを得ない事由と認められる限定的な条件に当てはまる場合、60歳未満であっても、脱退一時金という形で掛金を受け取ることができます。

具体的には、以下の条件をすべて満たすことで、実質iDeCoの途中解約が可能になります。

・60歳未満
・企業型年金加入者ではない
・日本国籍を有する海外居住者ではない
・国民年金の第1号の被保険者のうち、国民年金保険料の全額免除または一部免除、もしくは納付猶予を受けている
・確定拠出年金の障害給付金の受給権者ではない
・通算拠出期間が3年以下、または個人別管理資産が25万円以下
・最後に企業型確定拠出年金またはiDeCoの加入者資格を喪失した日から2年以内
・企業型確定拠出年金の資格喪失時に脱退一時金を受給していない

ただし、これらすべての条件をクリアするのは難しく、実際2021年度に脱退一時金を受け取った方は、iDeCoの加入者が約200万人いるのに対し、わずか5,500人程度しかいません。

障害給付金を受け取る場合

iDeCoに加入している本人が、70歳になる前に傷病によって一定以上の傷害状態になり、その状態が1年6ヶ月以上続いた場合には、それまで積み立てたお金を障害給付金として受け取ることができます。

ここでいう一定以上の傷害とは、以下のいずれかの状態を指しています。

・障害基礎年金受給者(1級および2級)
・身体障害者手帳(1~3級)の所持者
・療育手帳(重度、最重度)の所持者
・精神障害者保健福祉手帳(1級および2級)の所持者

ちなみに、障害給付金の請求は、初診日から1年6ヶ月経過後に請求し、分割で受け取るか、一括で受け取るかを選ぶことができます。

まとめ

ここまで、iDeCoの途中解約が可能なケースについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?

特定の条件を満たせば、一度加入したiDeCoでも途中解約をすることは可能です。

しかし、近い将来、まとまったお金が必要になる見込みの方や、現時点でまとまった貯蓄のない方などは、つみたてNISAなど、途中解約の融通が利く商品を選択することも検討してください。

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