日本人の死因の上位を占める三大疾病の1つに、脳血管疾患があります。
これは脳にダメージを受ける病気で、一般的には脳卒中のことだと思われています。
しかし、実際には脳卒中と脳血管疾患は違うものです。
どのような違いがあるのか、それぞれの内容について解説します。
脳卒中とは?
脳の代表的な病気に脳卒中があるのですが、実は脳卒中というのは直接の病名ではありません。
脳内出血と脳梗塞、くも膜下出血の3つを合わせて脳卒中と呼んでいるのです。
脳内出血というのは、脳の血管が破れてしまい、脳内で出血している状態です。
そのままだと、脳細胞を血液の塊が圧迫してしまい、脳細胞が壊れてしまうため、非常に危険な病気です。
同じ脳の中でも、出血した場所や損傷の度合いでどんな症状が出るかは異なるのですが、多くの場合、後遺症が残ってしまいます。
外からは出血する様子が見えないため、気が付くのが遅れるかもしれません。
脳梗塞は、脳内の血管の一部が閉塞されてしまうことで起こる病気です。
脳内には太い血管から枝分かれした細い血管が広がっていて、その一部が閉塞されてしまうと脳梗塞になります。
閉塞された位置によって症状は異なり、主にラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症の3つに分けられます。
ラクナ梗塞は、動脈硬化によって脳の奥を流れる細い血管が詰まった状態です。
アテローム血栓性脳梗塞は、血管に溜まったコレステロールなどが堆積して動脈硬化を起こし、血管が細くなっているところで血栓になったものです。
心原性脳梗塞症は、血流によって心臓付近から血の塊が流れてきて、脳の血管が詰まる病気です。
くも膜下出血は、脳内で血管が破裂し、脳を覆うくも膜の下に出血が生じた状態です。
特に多いのが脳動脈瘤の破裂で、高血圧の方や飲酒・喫煙習慣がある人に多いと言われています。
くも膜下出血には突然激しい頭痛がするもので、発症した人の半分は亡くなるか、かなり大変な後遺症があります。
社会復帰できる人は、全体の3割ほどに過ぎません。
脳血管疾患とは?
脳血管疾患は、脳動脈に起こった異常によって引き起こされる病気のことです。
様々な病気の総称であり、脳卒中もその1つで、最も知られている症状です。
脳卒中は脳血管疾患の代表的な症状3つのことを言うのですが、脳血管疾患の代表的な症状は全部で6つあるため、脳卒中以外にも3つの症状があります。
まず、脳梗塞の前兆として起こる一過性脳虚血発作(TIA)です。
これによって神経症状が生じるのですが、その後は脳梗塞に至らず24時間以内には症状が消失します。
発症した場合は、すぐに急性期脳梗塞を発症するリスクが高まります。
いわば、脳梗塞の警告と言える疾患となっています。
なるべく早く、専門医療機関を受診したほうがいいでしょう。
血圧が180mmHg以上に急激な上昇をして、頭痛や嘔吐、全身けいれん、意識障害などを起こす疾患を、高血圧性脳症と言います。
腎不全や脳の浮腫なども、この原因となります。
脳血管疾患の障害によって認知症が発症すると、脳血管性認知症となります。
脳に十分な酸素や栄養が行き届かないために、認知機能障害が起こるのです。
障害を受けていないところには問題がないため、例えば記憶能力がなくなっても理解力は十分というケースもあります。
そのほかに、無症候性と言われる症状がない疾患もあります。
症状がないのは最初だけで、いずれ悪化すると症状が出て発症することとなるため、要注意と言える状態です。
まとめ
脳血管の障害によって脳内出血や脳梗塞、くも膜下出血などが起こることがあり、これら3つの症状を合わせて脳卒中と呼びます。
脳血管疾患の場合は脳血管障害によって起こる症状全般を指すため、脳卒中の3つの症状に加えてさらに3つ、合計6つの症状が代表的なものとなります。
脳の病気は、対処が遅れると後遺症が起こる可能性も高くなるため、迅速な対応が必要となるでしょう。