生命保険に加入することを考えた時、貯蓄性がある生命保険と貯蓄性の低い掛け捨ての生命保険のどちらに加入するか、悩む人は多いでしょう。
特に、掛け捨て保険は損だといわれることが多いため、選んでいいのか悩んでしまう人もいると思います。
掛け捨て保険は本当に損なのか、解説します。
掛け捨て保険はなぜ損といわれるのか
保険には、貯蓄を兼ねたものと、貯蓄性がないものがあります。
貯蓄できる保険は、途中で解約した場合は解約返戻金が支払われ、何事もなく契約期間を終えた場合には満期保険金が支払われます。
貯蓄できる保険には、保障と貯蓄性を両立した保険と、貯めることを重視した保険があります。
保障と貯蓄性を両立したものとして、終身保険や養老保険などが挙げられます。
終身保険は、その名前の通り一生保障が続く保険で、契約していれば必ず保険金を受け取ることができます。
仮に途中解約しても、解約返戻金を受け取ることが可能です。
養老保険は、死亡時に保険金を受け取ることができ、満期が定められている保険です。
途中解約をした場合は解約返戻金を受け取れるため、学資保険の代わりや老後の資産形成等を目的に加入している人もいます。
個人年金保険は、特に貯蓄性を重視しています。
公的年金だけでは不十分であるため、自分でも用意したいという方が加入します。
子どもの将来に備えて、学費などを準備する学資保険もあります。
一方、掛け捨て保険と言われる貯蓄できない保険は、保障以外には何も支払われません。
死亡時や入院時など、契約内容にある保障であれば保険金が支払われます。
しかし、途中解約や契約期間満了時は、特に何も支払われないのです。
貯蓄型であれば、何ももらえずに終わるということはありません。
しかし、掛け捨て保険の場合は途中で解約した時はもちろん、健康なまま契約期間を終えた場合も何ももらえずに終わるのです。
貯蓄性のない保険として、まずは定期保険が挙げられます。
10年や20年などの一定期間か、一定年齢まで加入し、期間中は死亡した場合などに保険金を受け取ることができます。
死亡時や重い障害などを負った場合に、保険期間中年金形式で保険期を受け取ることができる、収入保障保険も、貯蓄性のない保険です。
定期保険と比べると、保険料が安いことが特徴です。
それ以外には、病気やケガで入院したときに備えておく医療保険や、医療保険の中でもがんに特化したがん保険などがあります。
医療保険は特約が多く、がん保険は様々なタイミングで保険金を受け取ることができます。
貯蓄性がある保険との違いは?
保険は掛け捨てばかりではなく、終身保険や養老保険、学資保険、個人年金保険など、貯蓄性がある保険もあります。
貯蓄性がある保険との違いについて、解説します。
掛け捨て保険は、解約したときに解約返戻金が基本的にありません。
解約時にリターンがないから、掛け捨て保険と言うのです。
一部には解約返戻金が支払われる掛け捨て保険もあるのですが、額は少額になります。
貯蓄性がある保険は、解約時に返戻金があります。
返戻金の種類は、保険によって異なります。
一定年齢に達した後、返戻金を年金のように支払うものもあります。
また、養老保険の場合は満期を迎えた時に、満期返戻金が支払われます。
掛け捨て型の保険の最大のメリットは、保険料が一般的な保険よりも安価なことが多い、という点です。
なるべく安い価格で保険に加入したい、という方にピッタリです。
一方、貯蓄性がある保険の場合は、毎月自動的にお金が貯められていきます。
資産運用では契約時の予定利率で固定されるので、金利が高い時に加入すれば得になる、というメリットもあります。
生命保険には、お宝保険と呼ばれるものもあります。
特定の保険の種類ではなく、加入する際に予定利率が高かった保険のことをいいます。
保険料の支払いが負担になった時は、解約ではなく払済保険に変更することを考える必要があるでしょう。
貯蓄性がある保険の注意点
貯蓄性のある保険はいくつかの種類があるのですが、中には掛け捨てではなく貯蓄性がある保険に加入しようという人もいるでしょう。
加入する際は、いくつかの点に注意が必要です。
まず、貯蓄性があるからといって預貯金のようなものだとは思わないでください。
契約してから一定期間内に解約してしまうと、解約返戻金が無かったり、ごくわずかだったりするでしょう。
解約返戻金をなるべく多く受け取るためには、まず長期間加入を続けるようにしましょう。
短ければ、あまりもらえないのです。
また、貯蓄性のある保険は、契約したときの予定利率で固定されてしまいます。
もし、予定利率が低いタイミングで加入してしまうと、保険料がなかなか支払った額の合計を上回らないこともあるのです。
また、予定利率について勘違いしている人も多いのですが、予定利率2%の場合は支払った保険料全額を2%で運用するわけではありません。
保険料の内訳には、純保険料と付加保険料があり、付加保険料は運用に用いられないのです。
そのため、付加保険料の割合が大きいと、予定利率がかなり高くなければ満期時に元本割れすることが多いでしょう。
予定利率は預貯金の金利とは全く異なるので、気をつけてください。
予定利率は、契約者と約束する運用での利回りのことをいいます。
株式や不動産、債券など、様々な分野で運用して、約束通りの利回りにしようと考えているのです。
掛け捨て型の保険と比べて、貯蓄型の保険は保険料が高くなってしまいます。
代わりに、解約返戻金や満期保険金などがあり、保険を利用しなかったとしても十分なリターンがあります。
しかし、多額の保険料を支払うのに抵抗があるという人もいるでしょう。
いざという時の保険なのに、途中で無駄に思えてしまうかもしれません。
もしも、毎月の保険料を支払うのが難しい場合は、掛け捨て型保険を利用しましょう。
貯蓄型保険と比べると、掛け捨て型保険は保険料が安いため、あまりコストをかけずにいざという時に備えることができます。
多少の保障があればいい、という人には特に向いているでしょう。
掛け捨て型保険は、貯蓄性がある保険とは大きく異なります。
双方の特徴を踏まえて、自分に向いているのはどちらかを決定してください。
損と言われている掛け捨て型保険でも、十分な保障を受けられるかもしれません。
掛け捨て保険は本当に損?
掛け捨て保険は、解約時や契約満了時には何も受け取ることができません。
では、掛け捨て保険は本当に損なのでしょうか?
実は、そうとも言い切れません。
なぜなら、保障内容が同じ場合の保険料を比較すると、貯蓄性がある保険は掛け捨て保険よりも大幅に高くなるからです。
貯蓄性のある保険の保険料は、保障部分に加えて貯蓄部分も支払うことになるため、高くなってしまうのです。
「結局は貯蓄されるのだから、損はない」という考え方もできるでしょう。
しかし、保険料が高くなるほど家計にかかる負担は大きくなります。
資産運用をするつもりがあるなら、保険よりも高い利回りで運用することもできるでしょう。
また、保険料が同額なら、貯蓄性がない保険の方が保障を受ける時に内容が手厚くなります。
そのため、掛け捨て保険は必ずしも損をするとは言えないのです。
高い保険料が負担にならない場合は、保険を利用してお金を貯めることも考えましょう。
まとめ
保険には貯蓄性があるものとないものがあり、貯蓄性がない保険を掛け捨て保険といいます。
掛け捨て保険は損だといわれることが多いのですが、貯蓄性がある保険と同じ保障内容を少ない保険料で受けられるため、必ずしも損とは言い切れません。
保険料の安さと貯蓄性のどちらを優先するのか、よく考えてから選ぶようにしましょう。
なお、貯蓄性の高い保険はなるべく予定利回りが高いタイミングに加入するのがおすすめです。