世界の保険の歴史

保険の知識

現在、日本人の8割は生命保険に加入しているといわれています。
他にも多くの種類がある保険ですが、世界で保険が誕生したのはいつなのでしょうか?
また、誕生してから現在のように多くの種類が誕生するまでの歴史において、何があったのでしょうか?
世界の保険の歴史について、解説します。

世界の保険の誕生と発展

保険は、保険料を支払って契約時に定められた状態…例えば、ケガや病気、障害、死亡などの状態になった時、定められた金額を受け取ることができるという仕組みです。
日本においては明治時代に入ってから普及しましたが、世界の保険の起源は紀元前2250年頃まで遡ります。

当時は古代オリエント期と呼ばれる時代で、貿易が活発に行われる中で、海賊に襲われたり自然災害が発生したりすることによって、船が沈むリスクがあったのです。
リスクへの備えとして資金の借り入れが行われていたというのが、海上保険の起源とされています。

当時の仕組みは、冒険貸借といいます。
冒険貸借では船本体と積載する荷物が補償の対象となり、船舶や荷物に損害が出た場合は負債を免除するという仕組みになっていました。
海難事故によって船本体と荷物が全損した場合は債務が免除されるという、条件付き債務となるため、航海が無事に終わった場合は売り上げの30%を超える利息になることも多かったのです。

冒険貸借がよく用いられるようになったのは、11世紀の第1回十字軍遠征以降ですが、キリスト教は高い金利を好ましくないと考えていました。
そのため、1230年頃に利息禁止令が発令され、冒険貸借は事実上禁止となったのです。

しかし、冒険貸借は航海をする人と資金を貸す人の双方にメリットがあるため、禁止された後も様々な抜け道を使って利用され続けていました。
その後、金銭貸借をせずに危険負担の機能だけを残し、事前にお金を支払って負担してもらうという仕組みに変わったのです。

病気やケガの保険が誕生するきっかけとなったのは、イギリスのエリザベス1世です。
16世紀当時、イギリスがスペインの無敵艦隊に攻撃する際に、エリザベス1世が船員に対して、ケガや病気になったら保険金を支払うと宣言したことで、誕生したといわれています。

その後、中世ヨーロッパでは商人が職業に分かれてギルドを設立し、冠婚葬祭などの経済的なマイナスがある時に組合で分担して負担していました。
また、ケガや病気で働けない時や死亡した時に、生活の援助をしていたのです。
したがって、ギルドを生命保険の起源として考える説もあります。

近代保険の誕生

近代的な保険制度が誕生したのは、1762年です。
それまで、ギルドのような仕組みは民間にも広まっていたのですが、年齢を問わず一定の金額を徴収していたため、若い世代が不公平だと主張して脱退していき、高齢者ばかりが残るようになりました。

高齢者だけが残っていると制度は成り立たないため、ギルドは続々と解散していきます。
そこで登場したのが、エドモンド・ハレーです。
ハレー彗星で有名な学者のエドモンド・ハレーが、人間の寿命を統計化した「生命表」を作ったのです。

生命表によって、年齢別の死亡率が計算できるようになりました。
死亡率を基にして、ジェームス・ドドソンが年齢に応じた保険料を算出し、保険料を公平に分担できる方法が発見されたことで、1762年に近代的な保険制度の「エクイタブル・ソサエティー」という生命保険会社が創設されたのです。

エクイタブル・ソサエティーは、イギリスで創設から200年以上営業を続けました。
近代生命保険業発祥の地であるイギリスは、現在米国、日本に次いで世界第3位の生命保険料シェアの地位を維持しています。

まとめ

世界で保険の概念が誕生したのは、紀元前2250年というはるか昔のことでした。
誕生してからは形を様々に変え、保障する対象も増やしながら新たな仕組みが登場していきました。
近代的な保険制度が誕生したのは18世紀のことで、初めて近代保険の仕組みを用いた生命保険会社が創設されたイギリスは、生命保険料シェアで世界3位の地位を維持しています。

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