これまで老後資金と言えば年金というイメージがありましたが、近年は大分考え方が変わってきています。
公的年金以外にも、私的年金や資産運用などでお金を確保しなければ、老後の生活が苦しくなる可能性があります。
今回は、老後資金の目安やシミュレーションの方法などについて解説します。
家族構成別の老後資金の目安
必要な老後資金は、家族構成によって変わってきます。
ここでは家計調査年報のデータを参考にしながら、夫婦2人の場合と、独身の場合の老後資金の目安を比較します。
夫婦2人の場合
老後を夫婦2人で過ごす場合、月の収入(公的年金額)は平均で21万6,519円です。
これに対し、消費支出は22万4,436円となっています。
つまり公的年金だけでは、およそ8,000円のマイナスになるということです。
そのため、夫婦2人で老後生活を過ごすには、公的年金を含めて23万円程度が必要になります。
独身の場合
老後を一人で過ごす場合、月の収入(公的年金額)が12万470円なのに対し、消費支出が13万2,476円かかります。
収入から消費支出を引くと、1万2,006円の赤字です。
そのため、必要な老後資金の目安は月14万円程度と考えておきましょう。
必要な老後資金のシミュレーション方法
先ほど、家族構成別の平均的な収入や消費支出額について解説しましたが、人それぞれ生活スタイルは異なります。
そのため、本当に不自由ない老後生活を送るには、より具体的に想像することが大切です。
またそのために活用したいのが、以下の計算式です。
①(公的年金収入-1ヶ月の支出)×12ヶ月×老後年数
②退職金+満期保険金など
③今後予想される大きな支出(葬儀代、リフォーム代、旅行代など)
①+②-③=必要な老後資金
公的年金の他に私的年金で貯蓄していなくても、退職金や満期保険金などを受け取れる方は、ある程度収入の平均額がアップします。
ただし今後大きな支出が予想される場合、それも計算に入れておかなければ、老後資金が大幅に減少してしまうおそれがあります。
また上記の計算式で具体的な必要額が算出された結果、金額がマイナスになるケースももちろんあります。
シミュレーションが遅れれば遅れるほど、老後資金を確保するまでの期間が短くなってしまうため、なるべく早めに把握しておくことが大切です。
老後資金が必要になるタイミング
老後資金がいつから必要になるのかを考えるには、何歳で仕事を辞めるのかを明確にする必要があります。
多くの方は60歳で退職するかと思われますが、現役世代のほとんどの方が公的年金を受給できるのは満65歳からです。
つまり60歳で退職すると5年間収入がなくなるため、その間再就職するかどうかも検討する必要があります。
老後4,000万円問題について
金融庁の“市場ワーキング・グループ”による「老後20~30年で約1,300万~2,000万円が不足する」という試算を発端に物議を醸したのが、老後2,000万円問題です。
また現在では、老後資金が4,000万円必要になるという見解が新たに注目されています。
こちらが老後4,000万円問題です。
老後4,000万円問題の数字は、物価が3.5%上昇し続けた場合を考慮した試算によるものです。
今後の物価がどのように変動するかはわかりませんが、少なくともここ数年において物価が上昇し続けていることは事実です。
また物価の変動は現在の生活だけでなく、老後生活にも大きな影響を及ぼします。
まとめ
老後資金の目安を知ることは、老後生活について真剣に考える第一歩です。
そのため、把握だけで終わるのではなく、どうすれば目安の金額を達成できるのかを考えなければいけません。
また著しい物価の上昇などにより、必要な老後資金はどんどん増えてきています。
特にまだ老後まで年数があるという方は、時代の流れを読みながら適宜目標金額や貯蓄・資産運用の方法などを変えていくことも重要です。