変額保険はこんな方におすすめ

保険の知識

変額保険は、他の保険よりも資産運用という面が強い保険です。
医療保険や生命保険、養老保険などはどのような方にも万が一の備えとしておすすめですが、変額保険についてはお勧めできる人とおすすめできない人がいます。
変額保険がおすすめな人、おすすめしない人について解説します。

おすすめな人

変額保険は、運用成績によって解約返戻金や満期保険金、死亡保険金などの額が変動する保険です。
他の保険とは違う性質があるため、おすすめな人の特徴も異なります。

加入をおすすめするのは、まず万が一の死亡時に備えるとともに将来への備えとして資産形成をしたいという人です。
特に、資産形成の知識がないという人には向いているでしょう。

なぜなら、資産運用を自分で行う必要がなく、保険会社が行ってくれるからです。
そのため、運用方法や運用先を調べる必要もありません。
自分で金融商品を選ぶのが不安という方は、加入をおすすめします。

変額保険と他の金融商品との大きな違いは、死亡時や高度障害時の保障があるという点です。
別途保険に加入しなくても、資産運用をしながら万が一に備えておくことができるのです。

また、大きく増える可能性がある生命保険を希望している人にもおすすめです。
一般的な積立利率変動商品や配当商品と変額保険との大きな違いとして、年金や解約返戻金などに最低保証があるかないかという点があります。

変額保険の場合は、大きく資産を増やすことができる可能性がある債券や株式に投資する代わり、固い運用成果を目指しているわけではないので、死亡保険金には最低保証があるものの解約返戻金などには最低保証がないのです。

変額保険に加入した際は、10種類前後の運用方針が異なる特別勘定の中から1つ、もしくは複数を選択して、保険料を運用するものを選びます。
特別勘定によって、リターンの期待度や安全度が異なります。

長期的に資産形成をしたいという方にも、変額保険はおすすめです。
長期運用においては運用リスクが軽減でき、短い時間より成果も安定しやすいのです。
長期間にわたって運用して資産形成をしたいという人には、おすすめです。

長期間の加入に向いていることから、途中で解約するつもりがないという人にも向いています。
途中解約をすると、解約返戻金をもらえる変額保険もあるものの、返戻率は基本的に低いのです。

変額保険には、加入期間が決まっている有期型と、一生涯保障が続く終身型があります。
途中で解約した場合は解約返戻金が支払われるものの、加入期間によって返礼率は異なり、短ければ返戻率も低くなってしまうのです。

なぜ支払った保険料が全額戻ってこないのかといえば、まずは契約から解約までの間は保障を受けているからです。
また、契約時に加入期間をあらかじめ想定しており、想定より短い期間で途中解約された場合は想定外の出費となってしまうため、全額を返金できないというのも理由の1つです。

変額保険は、支払われた保険料を投資という形で運用しています。
運用結果は死亡保険金や解約返戻金に反映されるのですが、運用の際は全額を投資できるわけではなく、運用経費などが差し引かれます。

運用期間が短いと、利益はあまり生じません。
運用経費の分だけ、マイナスになってしまうのです。
加入期間が短ければ短いほど、マイナスの割合は大きくなってしまうため、返戻率が低くなるのです。

終身型の変額保険は、相続対策にも向いています。
相続の際は、相続する財産の額に応じて相続税が課されるのですが、財産に現金や預金が少なく不動産が多い場合は、相続税を納税する準備ができないこともあるのです。

例えば、相続する財産が不動産で相続人が1人、不動産の価値は1億円の場合、基礎控除額は3,000万円に相続人の人数ごとに600万円なので、3,600万円となります。
課税価格は6,400万円、税率は30%で控除額が700万円なので、相続税額は1,220万円となります。

不動産は、地域によって非常に高額となります。
東京23区内であれば、1坪が数千万円となることもあります。
23区内の一戸建てや、広い部屋、新築のマンションを相続する場合は、1億円を超えることも珍しくないでしょう。

数千万円の相続税を納めるのは、難しいという人もいるでしょう。
不動産を売却して用意しようにも、相続税は10カ月が法定納期限となっているため、すぐ売れなければ間に合わないかもしれません。

変額保険に加入していれば、相続財産とは別に死亡保険金が支払われます。
死亡保険金の額にもよりますが、相続税の納付の一助となるのは間違いないでしょう。
他の生命保険でも同様に保険金は受け取ることができますが、変額保険の場合は地価の高騰に合わせて保険金額が増えるというメリットもあるのです。

不動産の値動きは、景気と深い関わりがあります。
景気が良くなれば不動産価格も上がり、不景気になると価格は下がりやすいのです。
変額保険も、好景気なら運用成績が良くなり、不景気なら運用成績が悪化しやすくなります。

地価が下がっている時は、相続税の額も下がるため納めやすくなるでしょう。
好景気で地価が上がっている時の相続税は高額になるため、納めるのが大変です。
変額保険なら、支払われる死亡保険金の額も増えるため、相続税を納付しやすくなるでしょう。

保険料が、定額保険と比べて保険料が低くなっているのも特徴です。
保険料を抑えて資産運用をしながら万が一への備えをしたい、という人にも向いているでしょう。

変額保険には、残念ながら元本保証がありません。
それでも、利益が出る場合は定額保険よりも大きくなるのは確かです。
そのため、多少のリスクを負ってでも資産を大きく増やしたいという方に向いています。

おすすめではない人

変額保険は、誰にでもおすすめできる保険というわけではありません。
場合によっては、おすすめできない人もいるのです。
おすすめではない人の特徴について、解説します。

まず、何よりも安定性を求めてリスクは避けたいという人にはおすすめしません。
特別勘定の運用成績次第で満期保険金や解約返戻金などが払込保険料の合計を下回ってしまう可能性があるため、それを避けたいという人には向かないのです。

変額保険は、リスクがある分リターンも大きくなる可能性があります。
その点と元本割れを避けたいという気持ちを天秤にかけ、元本割れを避けたい方に傾くようなら、これに加入するのはやめておいたほうがいいでしょう。

ただし、リスクを避けたいという人の中でも、元本割れは一切許容できないという人もいれば、マイナス10%までは許容できるという人もいるでしょう。
変額保険には最低保証額があるので、最低保証額でも納得できるという人であれば加入を検討してもいいかもしれません。

また、iDeCoやNISAなどの資産運用をすでに行っている方には、あまりこの保険は必要ないでしょう。
なぜかというと、その分の保険料をすでに行っている資産運用に加算したほうが、投資効率は高くなるからです。

保険と投資を一緒に行うのが変額保険なので、投資分に保険料が加算されてしまいます。
それよりは、その分を投資に回すことをおすすめします。
死亡保険は、保険料が安い掛け捨ての生命保険に加入しましょう。

保険と貯蓄を同時に行うのではなく、切り離しておきたい人にも向いていません。
例えば、変額保険は毎月同じ額を積み立てていくことになりますが、毎月の収入が安定しないため毎月同じ額を支払うのが難しいという方は個別に貯金したほうがいいでしょう。

加入できる期間が短い、という人にも向いていません。
変額保険は、基本的に長期加入を前提としているため、短期間では運用成績も安定せず、マイナスになる可能性が高くなります。

運用成績が安定するのは、20年以上の期間が必要と言われているのです。
また、解約返戻金の返戻率も、期間が短いと低くなるため、支払った保険金があまり戻ってきません。

変額保険の場合は、10年以内に解約してしまうと解約控除があるのです。
解約控除は、解約返戻金の計算をする際に控除されるもので、契約期間が短いほど控除率は大きくなります。

そもそも、保障がいらないという人にも向いていません。
独身で家族がいないという人の場合、生命保険に加入する意味はあまりないのですが、変額保険も同様に加入する意味がありません。

変額保険は、あくまでも生命保険などをベースとして、資産運用を加えたものです。
肝心の生命保険が不要な場合は、個別に投資をしている方がいいのです。
保障が不要な場合は、証券会社の口座を開設して、自分で投資信託や株式、債券などに投資しましょう。

ただし、変額個人年金保険の場合は、自身の老後への備えとなるため、必要ないとは言い切れません。
特に、インフレが起こった場合は変額個人年金保険が非常に有用となります。

インフレが起こるのは、主に景気がいい時です。
インフレになると、物価が高騰して資産の実質的な価値が減少します。
定額年金も、同様に価値が下がるのです。

国民年金保険も、払い込んだ保険料の額によって受給する年金額が決まるのですが、例えば月10万円となっている場合に、インフレで物価が2倍になっていると、実質的には5万円相当の価値しかないのです。

しかし、変額保険の場合は受けとることのできる年金額が運用成績によって決まります。
好景気の時は、運用成績も好調となりやすいため、インフレに合わせて運用成績によって決まる変動保険金額が増えます。

変動保険金額が増えると、受け取ることのできる個人年金額も増えるのです。
変額保険はインフレに強いため、将来への備えとしても有効です。
老後の生活資金が不安な場合は、変額保険への加入を検討してみましょう。

毎月の支出が増えると生活に支障が出るという人には、変額保険をおすすめしません。
変額保険は、死亡時の保障と資産運用を兼ねているため、通常の保険よりも保険料が高額になってしまうのです。

例えば、死亡時の保障として毎月1万円支払っているとして、資産運用の分は別に支払う必要があります。
仮に月1万5千円だとしたら、毎月2万5千円ずつ支払うことになるのです。

資産運用は、あくまでも余剰資金で行うものです。
生活費を圧迫してまで行うものではないので、生活に余裕がない場合は変額保険に加入しない方がいいでしょう。

変額保険は生命保険ですが、同時に運用を保険会社に任せる投資でもあります。
商品としての特性を理解したうえで、自分の目的をはっきりとさせてそれに合った保険を選ぶようにしましょう。

また、保険会社に運用を任せるとは言っても、運用する特別勘定は自分で選ぶことができます。
自分が投資をするうえで求めるもの、投資スタイルなどを考えて、特別勘定を選んでください。

まとめ

変額保険は生命保険の一種ですが、保険の中でも特殊なので加入をおすすめする人とできない人に分かれます。
特に問題となるのが元本割れのリスクがあるという点で、多少の損を覚悟しても大きな利益を目指したいという方にはおすすめです。
しかし、万が一のことがないようにしたいという方には、あまり向いていないでしょう。
自分がどちらのタイプかを考えて、加入してください。

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