変額保険は、死亡保障を準備しながら、特別勘定の運用実績によって満期保険金額・積立金額などが変動する保険です。
また、所定の条件を満たせば、払い込んだ保険料は生命保険料控除の対象になります。
今回は、生命保険料控除の概要や控除額、手続きを中心に解説したいと思います。
変額保険の生命保険料控除とは?
生命保険料控除は、変額保険契約者の年間所得から、払い込んだ生命保険料に応じた一定の金額が差し引かれるというものです。
変額保険に加入している間は、こちらの制度を活用することができます。
一定金額が差し引かれることにより、変額保険契約者は税率をかける前の所得が低くなります。
そのため、結果的に所得税や住民税の負担が軽くなります。
所得税、住民税控除額の計算式
変額保険の生命保険料控除による所得税、住民税の控除額は、旧制度と新制度で計算式が異なります。
旧制度の所得税、住民税控除額の計算式はそれぞれ以下の通りです。
(所得税)
年間支払保険料等 | 控除額 |
25,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
25,000円超50,000円以下 | 支払保険料等×1/2+12,500円 |
50,000円超100,000円以下 | 支払保険料等×1/4+25,000円 |
100,000円超 | 一律50,000円 |
(住民税)
年間支払保険料等 | 控除額 |
15,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
15,000円超40,000円以下 | 支払保険料等×1/2+7,500円 |
40,000円超70,000円以下 | 支払保険料等×1/4+17,500円 |
70,000円超 | 一律35,000円 |
続いて、新制度の所得税、住民税控除額の計算式は以下になります。
(所得税)
年間支払保険料等 | 控除額 |
20,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
20,000円超40,000円以下 | 支払保険料等×1/2+10,000円 |
40,000円超80,000円以下 | 支払保険料等×1/4+20,000円 |
80,000円超 | 一律40,000円 |
(住民税)
年間支払保険料等 | 控除額 |
12,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
12,000円超32,000円以下 | 支払保険料等×1/2+6,000円 |
32,000円超56,000円以下 | 支払保険料等×1/4+14,000円 |
56,000円超 | 一律28,000円 |
2011年12月31日以前に契約された変額保険については旧制度が、2012年1月1日以降の契約された変額保険については新制度が適用されます。
変額保険の生命保険料控除の条件
有期型、終身型の変額保険は一般生命保険料控除、年金型の変額保険は個人年金保険料控除の対象となります。
変額保険における一般生命保険料控除については、保険期間が5年以上の契約であることなどが適用の条件です。
また個人年金保険料控除の適用条件には、年金の支払いを受け取るまでに10年以上変額保険を契約することなどが挙げられます。
支払った生命保険料が生命保険料控除の対象になるかどうかは、保険会社から送られてくる証明書(電磁的記録印刷書面を含む)によって確認することができます。
ただし、これらの条件は旧制度・新制度の変額保険で変わってきます。
細かい条件については、こちらのページを参考にしてください。
変額保険の生命保険料控除の手続き
会社員などの給与所得者の場合は、年末調整の際に生命保険料控除の手続きを行います。
具体的には、“給与所得者の保険料控除申告書”に控除を受ける契約の情報を記載し、保険会社から受け取った生命保険料控除証明書を添付して、経理担当者に提出します。
また自営業者の場合は、確定申告の際に手続きを行います。
給与所得者と同様に、確定申告書に保険料や控除額などの情報を記入し、確定申告の期限内に提出します。
e-Taxを利用する場合は、生命保険料控除証明書の添付を省略することも可能です。
ただし、申告期限から5年間は税務署から提出を求められる可能性があるため、受け取った証明書は紛失しないように保管しておきましょう。
まとめ
生命保険料控除は、変額保険に加入する方であれば見逃せない制度です。
こちらの制度の対象になることで、変額保険は保険商品、運用商品という2つの性質をより発揮することができます。
ちなみに、変額保険は運用期間中の運用益も非課税になり、満期保険金や解約時払戻金の受取時まで課税されません。
そのため、節税をしながら保障を受けたり、投資をしたりしたい方には特におすすめです。