生命保険料控除は、変額保険を契約する方の年間所得から、払い込んだ生命保険料に対応した金額が控除される制度です。
年間所得額が低くなることから、こちらは所得税や住民税の節税効果があります。
しかし、こちらの制度にはいくつか注意点があります。
今回はこちらの内容について解説します。
変額保険の生命保険料控除における注意点4選
変額保険の生命保険料控除を活用したいと考える方は、前もって以下の注意点を押さえておくべきです。
・控除額には上限がある ・申告しなければいけない ・控除証明書が必要 ・保険料負担者が対象になる |
各項目について詳しく説明します。
控除額には上限がある
変額保険の生命保険料控除には、上限額があります。
そのため、高額な保険をかければかけるほど、控除額が増加するというわけではありません。
また、所得税・住民税の控除上限額を控除区分ごとにまとめると、それぞれ以下のようになります。
各控除区分 | 所得税 | 住民税 |
一般生命保険料控除 | 40,000円 | 28,000円 |
介護医療保険料控除 | 40,000円 | 28,000円 |
個人年金保険料控除 | 40,000円 | 28,000円 |
制度全体の所得控除 | 120,000円 | 70,000円 |
制度全体の控除額の上限は、所得税が120,000円、住民税が70,000円です。
また上記の区分のうち、変額保険と関係があるのは一般生命保険料控除、個人年金保険料控除です。
申告しなければいけない
変額保険の生命保険料控除を受ける際は、必ず申告をしなければいけません。
一般的な会社員や公務員の方の生命保険料控除の申告は、年末調整の手続きの一部です。
申告をし忘れた場合でも、気付いたタイミングが勤務先で定められた受付期限内であれば、経理担当者に追加申告できます。
しかし年末調整に間に合わなかった場合は、自身で確定申告をしなければいけないため、少し手続きは煩雑になります。
ちなみに確定申告の時期は、本来翌年2月16日~3月15日ですが、生命保険料控除の場合は時期に関係なく申告できます。
生命保険料控除のように、納めた税金の払い戻しを受ける還付申告のみであれば、生命保険料を支払った翌年1月1日から5年間、税務署への申告が可能です。
控除証明書が必要
変額保険の生命保険料控除を受けるには、生命保険料控除証明書が必要です。
生命保険料控除証明書には、加入している変額保険の区分が一般生命保険料なのか、個人年金保険料なのかについて記載されています。
また、こちらは年末調整を行う2ヶ月ほど前に郵送されてくるため、使用するときまで大事に保管しておかなければいけません。
もし、控除証明書を紛失してしまったのであれば、生命保険会社に再発行を依頼しましょう。
窓口であれば即日発行可能ですが、郵送の場合は届くまでに数日かかるため、余裕を持って依頼しておくことをおすすめします。
最近では、マイナポータルや各保険会社のマイページ等で、控除証明書の電子データを送付する電子的交付を行う保険会社もあります。
保険料負担者が対象になる
変額保険の生命保険料控除の対象は、あくまで保険料の支払いを負担した方です。
契約者ではありませんので、勘違いしないようにしましょう。
例えば、妻が変額保険の契約者であり、保険料を夫が負担しているとします。
このようなケースでは、契約者である妻は控除を受けることができず、保険料を支払った夫が控除の対象になります。
国税庁のホームページにも、生命保険料控除の要件について、契約者が誰であるかは要件とされていない旨が記載されています。
まとめ
変額保険の生命保険料控除は、節税を重視している方にとって非常におすすめの制度です。
場合によっては、数万円単位で得をすることもあります。
しかし、無限に控除が受けられるわけではなく、自動的に控除の対象になるわけでもありません。
また必要な書類がある点や、保険料負担者が対象になる点などについても、あらかじめ把握しておく必要があります。